自分史は地域、社会につながるもの
一般社団法人自分史活用推進協議会では、「自分史は、個人だけでなく、社会や企業、地域など多様な領域と深く関わっており、「私」から始まる記録と記憶の世界はどこまでも広がる」としています。地域史やコミュニティ史、ライフプランニング、往復書簡、家族史、自分たち史、家系図、エンディングノート、社史、老舗史、育児史、環境史、戦争証言アーカイブなども自分史と捉えています。全国の自分史活用アドバイザーが自分史の活用について、それぞれの専門分野を活かした領域での仕事として取組み、ご依頼者のニーズに応えています。
私は社会教育士という立場から自分史活用アドバイザーの活動をしていますので、自分史と社会とのつながりを強くて意識しています。社会教育士とは「地域課題の解決に向けて、地域の人たちに伴走しながら、地域の人たちと一緒になって学びの機会をつくり、新たな人との出会いやつながりをつくり、持続可能な社会をつくる」地域のコーディネーターです。(社会教育士は令和2年にスタートした文部科学省が認定する称号です。私は社会教育主事資格を持っていましたので、追加の単位を大学の通信教育で受講し令和3年に取得しました。)
個人ひとりひとりの「生きた証」である自分史には、社会と実生活に基づいた個人の心である主観を込めることができます。様々な課題を抱えながらも自分らしく、そして生活の場として愛着のある地域をよりよい場所に、と願い試行錯誤した生活史として記録することができます。それは生きた地域の生活史、文化史、郷土史になります。
こうした特性をもつ自分史には、多様化した社会の意義や、社会や地域が抱える課題の解決につながる大切な何かが、必ず描かれています。もっと行政を含めた地域が、自分史学習を勧め、記録し、自分史から読み取ることに積極的に取組んでいくべきだと考えています。
私はこの活動を通して、自分史の主人公である自分、そしてそのステージである地域や社会も元気になること、そしてそのための「学び合いの自分史」を、これまでも、そしてこれからも提案していきたいと思っています。
こうした観点からも、地域の図書館は、こうした地域で生き、活動されてきた方々の自分史、活動史、コミュニティ史つくりを推進し、アーカイブとしての機能を果たすべきだと思っています。郷土コーナーの自分史の棚つくりと充実は私の活動のテーマの一つとしています。